忍者ブログ
思いついたことを書き起こして考えを整理させてます。

【感想】アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-

うおおおおおおおおおお人生転換コンテンツ(※人生の価値観形成に多大な影響を与えた作品群のこと。例:少女革命ウテナ、アイカツ!)となんか様子がおかしいアニメのコラボ映画だあああああああ!!!!!!!


出典:アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-ホームページ

劇場版アイカツ!×プリパラ(通称:カツパラ)を見てきました。
この映画はすごい。普通同時期にやっていて同様の商業方式で同じコンセプトでバリバリの競合相手同士でコラボしましょうとはならないだろ。実際にコラボすると聞いては「えっマジ!?」という驚きよりも先に「どうやってそうなった????」が来た。マジでどうやってそうなったんだ。

しかし映画を見るにあたって二つだけ懸念があった。
まず一つは私のプリパラ知識の不足である。アイカツは人生を変えられただけのことはあり全ての回を二回以上見ているのだが、プリパラについては2クール目と2年目の一挙放送をパラ見しかしていない。つまりキャラと曲のことは知っているが、細かい話まで分かるかといわれると微妙だ。

まぁこれはどっちかといえば些細な問題である。重大なのは二つ目。
私にとってアイカツは最後の劇場版作品であった「アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY」で完結していることだ。
いやだって、終わっただろ!!! こっちは歌唱担当卒業のアイカツ武道館に行って最後を見届けてソシャゲのフォトカツもなんだかんだサービス終了までちょいちょい触ってその数年後に氷の森聞かされたんだぞ!!!アイカツは完結しただろ!!!!

ありがとう でもおやすみ 寄り添うように流れている 色褪せない宝物が 流れている 氷の森

 アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY EDテーマ 氷の森より
劇場にてこの曲を聴いた時から、私にとってアイカツの思い出はすべて大事だけれどずっとしがみ付いているものではなく、大事に心にしまいながらさよならを告げて前に進むためのものである。
ちなみに私はあまりに振り返りたくないために一度も氷の森を聴きなおしておらず、劇場で聞いたときは情緒がおかしくなって夜の道路で泣きながら帰った。相当不審者だったと思う。

まあそんなわけでアイカツに再度触れることは躊躇われていたのだが……

@かたもちさん
カツプリヤバいです。
プリしらでも全然心おかしなるんでまじで見てください。


— panon (@panon.bsky.social) 2025年10月15日 8:17

ぱのん、かたもち
あんた達と出会わなければ俺は
こんなアイカツ狂いにもプリパラ狂いにもなることはなかったぜ
ありがとうな


— まつば (@cafedematsuba.bsky.social) 2025年10月15日 15:30
これは「アイカツ!を見ると人生が変わる」という過去の私の布教の影響でアイカツを見たオタクどもである。この二人だが、布教した私本人がまあいろいろあって距離を置いたというのにドハマりしてアイカツを追い続けていて結果的に私よりおかしなことになってしまっている。
そんな二人からこう、映画を見ろという圧をかけられるわけである。うるさいので一回行って黙らせるためにさすがに忍びないと思ったので見に行くことを決めた。

というわけで自身の七面倒なオタクの心情を取っ払い、観念して見に行ったのが今日である。

結果的に言うとめちゃくちゃよかった。

以下セトリネタバレ。


M1 START DASH SENSATION

SDS!!!!SDS!!!!!真中らぁらがSDS歌ってる!!!!!!

ストーリーの前振りより先に楽曲をぶちかましてくる。う~ん、劇場版アイカツ伝統の掴みである。本当にこれやられるたびアイカツの映画見に来たなぁという気持ちにさせられる。
しかし今回はアイカツだけではなく、プリパラの映画でもある。ではそんな大事な映画の最初の楽曲をどうするのか……僕が制作陣だったら会議中「スタートダッシュセンセーション!!スタートダッシュセンセーションです!!!スタートダッシュセンセーション以外ありえません!!!!」と喚く狂人になる。

決して天才ではない少女がトップアイドルになるまでの道のりを現した大事な楽曲で、始まりにふさわしいタイトルを関している……こんなのスタートダッシュセンセーション以外ありえません!!!!つかみはスタートダッシュセンセーションです!!!!!

お久しぶりぶりブリ大根のあかりハニーの歌声にも感動したが、やはり度肝を抜かされたのはらぁらがSDSを歌っていることだ。しかもなんか……頭身が高い!!!プリパラさんがアイカツさんに合わせている!?!

これはこの後、全体的に感じたことだ。例えば振り付けについて。プリパラでは人間に近づけることよりも派手に動かすを優先しているようで、首の動きなんかが機敏なイメージがある(例:太陽のフレアシャーベットの『華やかに踊りましょ Proto planet』の部分、黄木あじみの動作すべて)
そういった動きは少ないし、アクの強いギャグもドロシーの我の強さくらい。なにより黄木あじみは出禁になってるし。どちらかというとアイカツ側に合わせているような雰囲気がある。こういった調整もコラボでは必要なのか、と素直に関心した。

かといってプリパラ味が消えているというわけは決してなく、各キャラそれぞれらしさを見せてくれていて、今作はかなり細かく入念に調整されている。素晴らしい……なんて素晴らしい作品なんだプリカツ。こんな素晴らしい作品は襟を正して見なければ制作陣に失礼だ。
私は心して今作を見る姿勢を整えた。

M2 ま~ぶるMake up a-ha-ha!

ンンン゙ン゙ーーーーッ!!!!!!ひなきちゃンンン゙ン゙ーーーーッ!!!!!!!

新条ひなきが可愛すぎる!!!!!!!!!!!!

楽曲が始まってひなきちゃんが見えた途端4割くらい意識がホワイトアウトしていた。
ま~ぶると言えばらぁらとみれぃという噛み合わない二人が神アイドルを目指すにあたって歌い続けた楽曲である。ゆえに正直イントロが流れてきて「え!?いいの!?」となった。え、みれぃさん開幕に別の女と歌ってたらぁらさんへの当てつけですか?”!?”?” ほならええかぁ…。

いやまぁそんなことは頭の片隅でしか考えてなくて、正直新条ひなきが可愛かったこと以外記憶にない。
ひなきちゃんというキャラは非常に多面的なキャラだ。幼い頃から芸能界に関わって現場にも慣れている、けど空気を読んで無難な選択しがち。元気いっぱいに努力を怠らないが、思うような結果が出ず実力に不安を感じたり……。普段は明るくふるまってくれるが、掘り下げ回ではその心の奥底が垣間見えるような厚みのあるキャラだ。
そんなひなきちゃんのまた新しい顔が見えた。可愛い水着ではしゃぐように踊るひなきちゃんである。可愛すぎる!!!!!!!!!!169話ひなきミラクル以来の衝撃!!!!!!!!!!!オオオォォォォオオオオオオーーーーッッッツ!!!!!!!

頭がおかしくなるかと思った。過去に骨折したときに医者に無理やり骨を嵌め直されて気絶しそうになった時並みの出来事だった。このひなきちゃん見るのに映画代使ったといっても過言ではない。

M3 チュチュ・バレリーナ

三人?!?!???!?!?!?

チュチュ・バレリーナという楽曲はアイカツの二人組ユニット「ダンシングディーヴァ」の楽曲であり、当然劇中では二人でしか演じられていない楽曲である。それを……三人!?!??
いきなり無法をかまされてしまい一体制作陣はこちらをどうしたいのか分からなくなって海外ミームみたいな顔になってた。
そもそも、あろまとそふぃが同じチームなこともないだろ!!!なんなんだこれは!?

ここで目を見張るのはそふぃのアイドルオーラである。
鍵ィーーーーーッ!!!!鍵鍵鍵鍵!!!!!鍵ィイイイイ!!!!!!!!!!
そう!解放乙女ヴァルキュリアじゃな! 北条そふぃの超重要メイキングドラマをこんなさりげない形で仕込んでくるなんて誰も思っていない。巧妙で、さりげない。テレビリモコンのボタン押したらいきなりスピーカーから毒吹き矢が飛んできたくらいのさりげない過剰火力だ。これは恐ろしい作品だということをここでようやく理解した……。

M4 恋するみたいなキャラメリゼ

堂島ニーナの新録!?!??!?!

堂島ニーナはアイカツ4年目に登場し、番組の終了にともない登場機会に恵まれずにいたキャラだ。(楽曲披露がないキャラ、アニメ登場が叶わなかったキャラなどもおり、ここは非常に悲しい……)
そんなキャラの出番があるだけでも嬉しいのに新録!?!?ある意味一番のサプライズはここかもしれない。
というか堂島ニーナがさぁ!!!そもそもアイカツ中でもキャラにそんなに絡んでないんだよ!!!!多分まどかと凛ちゃん初対面だぞ!!!!そんなニーナちゃんがめっちゃ可愛いCGで歌ってさぁ!プリパラキャラとの絡みで元気そうでさぁ!!!そんなんこんな機会じゃないと見れないだろ!!!!!

すみません、堂島ニーナについて語りすぎました。でも元気に主張激しく動いているニーナ見れたのに感動したんだよ俺は……!!

しかも楽曲が恋するみたいなキャラメリゼである。ここねちゃんはもちろんのこと、みかんとガァルルとニーナちゃんがかわいい空間を形成している。みかんめっちゃ似合ってるしガァルルも……ガァルル!?!?!
えっガァルルってこんなに立派にアイドルのダンスできるようになったの!? えっ何?!?!?うまくアイドルできなかった子たちが今輝いてるのか?!!?うおおおおおおパラカツ最高!!!!!

というかこれも何気に四人でやってるな??????やりたい放題か?

M5 コノウタトマレイヒ

すごいドストレートなコラボ来て逆に驚いた。「ふわりとののリサでステージやりましょう!」ってだいぶ早い段階で決まりそうな並びすぎる。新入生のののリサとふわりさんでは実力差ありすぎて大丈夫か……?となったが曲調もあいまって非常に楽しそうでよかった。あんなはちゃめちゃダンス踊れるんだののリサ。

ののリサというキャラは北海道の農家出身で朗らかな良い子たちなのだが、それに反してガーリッシュなドレスと曲を歌っている。実は普段のキャラ性にあった曲を歌うのは今回が初…? 前からこんな子たちだとは知ってはいるけれど、実際にステージで見せられるというのは逆に新鮮。
なんというか、変化球続きだったところに急にストレート投げられて反応できないみたいな現象が起きている。変化球を投げられてから10年なので余計に体がついていかない。

でも三人ともかわいいね~~~~~~~~~~。ののっち歌唱時の天音みほボイスとリサっぺ歌唱時のななせボイスの供給助かる~~~~~~~。

M6 純・アモーレ・愛

純・アモーレ・愛って二人で歌っていいんですか?!?!??!?

紫京院ひびきと?!?!二人で!!?!??!?いやいやいやいやいや無理だろ。え、大丈夫?これ本当に大丈夫なんか?よりによってまほちゃんなんてガチ恋勢いそうなキャラと?????? 私がパラ側のオタクだったら穏やかじゃないと思うが。どうするよ、今すぐ神崎美月呼ぶ?

普通のコラボ制作ならビビッてこの曲は選ばないだろ、だって怖いじゃん!!!アイカツのあかりジェネレーションにおいて明確な最強ポジっていないじゃん!!!!でもそこはカツパラ制作陣、頭アンダルシアの風なのでこう叫んでくる。「紅林珠璃なら大丈夫です!!!!」

紅林珠璃、それはあかりジェネレーションの誇るジョーカー。
時にみんなを引っ張り、時にキャラを爆発させみんなを戸惑わせ、とにかくたくましいキャラだ。時に情の弱さを見せることもあるが、それも珠璃の魅力。このキャラはとにかくなんでもできる。
恐ろしいのは珠璃が一番力を入れているのは女優であり、にも関わらずユニットのセンターを務め上げるくらいパワーを感じることだ。作中で特別に持ち上げられているわけでもない。それでも、彼女の力強さには妙な説得力がある。そう。言うなれば、天才なのだ珠璃は。しかしそれもこの映画を見て初めて気づいた。
紅林珠璃が紫京院ひびきのお眼鏡に適うに相応しいのは当然のことであった。

「上がりましょう!」(変なダンスしながら)
「君からは天才の匂いがする。なにより変な語尾がない
これはもう、必然だったのである。紫京院ひびきと紅林珠璃が組むのは当然だった。

これだけでも平服したくなる気持ちがあったがステージ内容もとんでもねぇ。紅林珠璃のことはそりゃあもう好きだが、珠璃ってこんなに素敵な女性として踊れるんだ……とびっくりした。アイカツ!を見てきたオタクとしてはエスコートされる珠璃というものは完全に想像の埒外である。なんというか、脳破壊の疑似体験ができた。
というか純・アモーレ・愛って二人振付ないよね???? インストールもクソもないけど珠璃もしかしてアドリブ?????? やっぱ天才だね珠璃???????????

M7 Chica×Chica

あのステップ…!
あの刀裁き……!
Chica×Chicaだぁああああああ~~~~~!!!!!
まど凛のセリフを聞いた瞬間に暴れる患者になっていた。隣に元女児の方がいたからアイカツおじさんの意地で耐えられた。単なる異常オタクだったら耐えられなかった。
他所のユニット曲でセンター張る東堂シオンは面白すぎるが、まぁギリギリこういうことやりそうな人ではある。奇しくもひびき天才と見出された紅林珠璃とシオンが交代した形なのは面白いが、すでに紅林珠璃を天才とみなしている己が一番面白い。パラカツに頭をいじくられている~~~~。

シオンの歌声といえばこの圧である。こんな圧の強いChica×Chicaは東堂シオンセンターじゃないと聞けない。この曲は本当に好きで……ライブなんかでもこの曲が本当に楽しみで……こういうサプライズ込みで好きな曲が聞けるのは非常に幸せだな……。
紅林珠璃もとい天音みほボイスでは歌声がセクシー属性強めでかっこいいのだが、シオンさんは凛々しくて本当に刀が似合う曲に仕上がっている。センターの存在感すげぇ。

え、いや普通にこの曲やってくれたのがうれしすぎるな?????俺Chica×Chica大好きだったんだな……。

M8 Lucky train!

ああああああああああああああ多人数ラットレああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

初めまして!!!僕は多人数Lucky train!の亡霊!!!!!
アイカツ武道館で浴びた全員歌唱Lucky train!が忘れられずに亡霊としてさまよっているよ!!!!!

そう。Lucky train!という楽曲は圧が重要なのである。ゴリッゴリのディスコミュージックである本ナンバーはこちらの脳を揺さぶるような音圧があってこそ相応しい。だからののリサにさぁ!!!ウェスト姉弟がさぁ!!合わさるなんてさぁ!!!最高だよねぇ!!!!!

正直ののリサはもう出ちゃったからこの曲やらないと思ってたので、ドロシーに続いてののっちが手を挙げたあのシーンで「おっ!?!まさか!!?!」となり、イントロが始まった瞬間おわ~~~!!!!!となった。これでもう成仏した。
これからはののりさ+ウェスト姉弟Lucky train!の亡霊として生きていく。全員歌唱Lucky train!の亡霊も仲間が増えてうれしいと喜んでいる。

M9 でび&えん

え、まど凛? フレンズ? いやなんだこの背景……?と思ったその瞬間には手遅れ。カツパラ制作陣の無法にひき殺された。

いやまど凛楽曲乗っ取ってるやないかい!!!!!!!!
すごい。もはやプリパラさんの楽曲をプリパラさん抜きでやってる。こんなおかしなことしようとは普通誰も思わない。思わないのだがカツパラ制作陣はネジが飛んだ判断をしだすためこのような事態となっている。

エンジェル星咲花那とデビル松岡ななせ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!星咲花那のエンジェル歌声と松岡ななせのデビル歌声が聞けるのはカツパラだけ!!!無法ものでありがとうカツパラ制作陣~~~~~~!!!!!

実はまどかと凛は仲良しでありながらユニットも組んでいなければ二人だけの楽曲というのもない。またもや、ではあるが今回のような機会は非常に貴重なのだ。それも、こんな激しく関係性を感じさせる楽曲で……?
フォトカツですら実装されなかった二人の楽曲をここで実装させることあるか?????制作陣の中にまど凛の亡霊がいたとしか思えない。しかもこの亡霊、よほど大暴れしたらしくED映像では立場が逆転してデビルまどかとエンジェル凛のイラストが登場している。いくらなんでもやりたい放題なのでバンダイは除霊のために霊媒師を呼んだ方がいい。

M10 Passion flower

ひびきさん脳を紅林にやられた???????
やばい。紫京院ひびきが紅林珠璃に強火で焼かれている。

いやまじめな話、トリコロール以外の人間をひびきがここまでリスペクトしているのは驚きである。自らをバカと認めたひびきはこんなにも変わったのだろうか。ここまで変化があるとなるとプリパラ三期以降が気になってきた。
でもファルルとふわりという子がいながらこんなこと許されるんですか…?

でもそこは紫京院ひびき、さすがである。センターにいながら低音で二人の歌声を支えるという役割に準じ二人を大事にする姿勢を見せてくれた。し、紫京院ひびき……? お前、そこまで人を支えることができるように……?え、俺が見ていない紫京院ひびきにどんな変化が???

三人のPassion flowerってかっこいいな……。ステップがさ…。

M11 Realize!

関 マ ゲ ド ン 爆 誕

なんか、関西組……プリパラキャラと絡んでる時のほうがイキイキしてないか……? エネルギー量が釣り合っているというか……みやびちゃんも派手に稽古しだしてたし……。
後から登場した新キャラ特有のパワフルっぷりでやっとエネルギー量がプリパラ側に追いつくのかもしれない。

楽曲を聞いたことないと思ったらプリパラ三期OPだったようだ。えOPをこのメンツで!?!? に、ニーナちゃん……? なんかめちゃくちゃ高待遇じゃないか…? あまふわもだしガァルマゲドンも……そんな主役みたいなことを…?
え俺はそんな重大なことも知らずにこの楽曲を!?!?!?

しまった、知らない曲だから正直ノリ遅れていた……みやびちゃんがもうフリフリコーデにすっかり慣れてしまっているのに気を取られていて……。ちょっとパブサしたらみんなザワついてるのに俺だけついていけていない。そんな、ジークアクスでファーストの話分からない人ってこんな気持ちだったんだ。
今からでもパラ見たほうがいい気がしてきた。

M12 Make it!

SDSに対するきれいなカウンターである。

いや~~~~~~ここで改めてフィッティングルーム出してくれるのがさ……。200回近く放送されてきたこのアイカツシステムの起動を見るとね、どうしてもワクワクするんだよ。体に染みついてるから。
そこに「コーデの数だけマイチケをスキャンしてね!」が加わる。いまさらながら、この映画がプリパラとアイカツのコラボであることをしみじみと思わせてくれる。

そこに大空あかりさんのMake it!である。オタクは死ぬ。
大空あかりさんが「自分らしさが一番でしょ」「憧れのままじゃイヤだから」「夢はもう夢じゃない」と歌うのは文脈が乗りすぎである。
これもう実質オリジナルスターとShining Line*とドラマチックガール披露しただろ。

文脈が乗るのは大空あかりのこれまでに対してだけではない。アイドルの輝きで奇跡が起きると信じている二人が改めてこの歌を歌うのはもはや決意表明である。みんなが不安がる中で真っ先に声を上げるのが真中らぁらである。大空あかりもまた、当然のようにアイドルの光を信じている。彼女は誰よりも輝いているアイドルを見てここまで来ているのだから。もう、この構図が、その、大空あかりの光が強すぎて……。大空……。
ちなみに話ずれますが、こういう時に大丈夫と言い切ったりせずに心配そうにする紅林珠璃の弱さが好き……

どう考えてもこっちが勝手にいろいろ考えているだけなのだが、Make it!ってこんなに大空あかりだっけ……?

M13 ハッピーチューニング

いよいよ来たルミナスとそらみのステージ。

まず思ったのがビジュアルが揃いすぎている。ひなきとみれぃは言うまでもないが、スミレちゃんとそふぃもかなりシルエットが似ている。その分際立つのがあかりハニーとらぁらである。すごい、こんなにWセンターを際立つほどそろうことあるんだ。もしかしてこのアイカツとプリパラのコラボって……必然だったんじゃねぇか……?

両作品は似たコンセプトと前述したが、実のところこの二つの作品は大きく異なる点がある。
それはアイカツはアイドルは「努力し、選ばれた者がなれるもの」としているのに対してプリパラは「誰もがアイドルになれる」としているところである。
その違いはこの映画の中でも真正面から描かれる。そらみの三人がスターライト学園に赴き、合同トレーニングを行うが普段から当然のようにトレーニングしているルミナスには追いつけない。一方でルミナスはパラ宿に来てその夢のような世界に驚いている。
このように同じアイドルアニメでありながら、両者の考え方はまったく噛み合っていない。

それは肝心のクライマックスで不和を生むのでは?と思っていたが、予想の真逆である。
アイドルたちが思いを乗せてカードとプリチケをかざす。ステージに向けてアイドルの光を届けているシーンで、この演出自体が奇跡だと感じた。
誰もがアイドルになれるというのは、誰もが光を届けられるということ。努力し選ばれた者だけがアイドルになれるというのは、その光にどれほどの力があるのかを示してくれるということ。
あのシーンでアイドルたちが見せた光は、誰もが奇跡を信じて、奇跡に向かって力を振り絞ってくれている。そんな風に受け取れた。アイカツとプリパラ、両方の光である。

この二つの作品が一緒になっただけではこうはならない。両者の良さを認め合い、手をつないで生まれた奇跡。だから曲名がハッピーチューニングなのだと後になってから気付いた。

まさしく、奇跡はいまステージの上にあった。すごい楽曲だこれは。

というか学園マザーが自分のドレスのカードかざしてるの……アイドルだった自分を大事にしていて……氷の森……。




いや……よかったですね。
正直行くの相当渋ってましたけど行ってよかった……。新条ひなきはかわいい……。

この映画も私の大事な氷の森としてしまわれることでしょう。アイカツはやはり、私の大事な思い出で今はプリパラもそこにつながってくれている。
見る前と変わったことが一つだけあって。ちょっとだけ、あまり頑なに振り返らないでいるのもよくないかもと思いなおしました。聞かずにいたアイカツ楽曲を聞くとやっぱり元気が出るし、ストーリーを振り返るとやっぱ好きだなぁと思える。それって別に悪いことなわけないじゃんね。
明日からはちょっとばかりアイカツ!曲を聞き直してみようかなと。そんな風に思いました。

拍手[6回]

PR

【GQuuuuuuX考察】本物と偽物、パロと本家

※本記事はGQuuuuuuXを8話まで見た筆者により作成されています。

MAV戦術によって隠されたテーマ

機動戦士ガンダムGQuuuuuuXがネットを騒がせてより早半年。放映中のアニメも大変熱狂的な人気を誇っている昨今です。

この作品ですが機動戦士ガンダムを題材としたIfストーリー……を出汁にして作った鶴巻・榎戸汁たっぷりのジュブナイル作品という意味不明なトンチキ構造をした、おおよそビックタイトルの続編とは思えぬとんでもない代物となっており、皆々様におかれましては大変混乱していることと思われます。
ガンダム知識を容赦なく刺激してくる小ネタの数々、狂気的にさえ思えるほどの思春期の輝き、道を外した行動に対するハラハラ感……圧倒的な情報量を不意打ちや連携を絡めて打ち出し、こちらを確実に打ち抜いてくる様はまさしくMAV戦術。見ていて話題に事欠かさない素晴らしい作品です。

さてそんな情報量に押し寄せられ、話の更新がされるたびに最新話の話題ばかり口に出してしまいそうな今作。一旦冷静になって全体を見返してみると意外な共通点が見受けられます。
コロニー生まれの私たちは、本物の重力も本物の空も知らない。(1話 アマテ・ユズリハ)

これが、本物のMAV……(3話 エグザベ・オリベ)
執拗とも言えるほどに、本物というワードが使われているのです。
直接「本物」という言葉を用いずとも、「あれが本物の赤いガンダムか……?」「これがジークアクスのパイロットか……?」と本物かどうか疑う展開が非常に多い。本物のニュータイプ(シュウジやマチュ)を指したセリフを含めるとさらに多い。庵野脚本の2話は例外です。
頻繁に使われており、主人公であるマチュの主目的にも大きく関わっているこのワード。機動戦士ガンダムの小ネタや少女らのリビドー的行動に隠されがちではありますが、この本物という言葉こそが本作のメインテーマの一つではないでしょうか。

本記事では一度このワードを通じて本作を振り返ってみようかと思います。

本物とはなんぞや

作品の舞台だったイズマ・コロニーにおいてはコロニー自体を回転させることで1Gの遠心力を生み出しています。しかしその1Gは決して星の質量による引力ではない。
マチュはこれを本物の重力と見なしていません。

けれどどうなのでしょう。実際に足を地につけ、走ることができるのは立派に重力といえるのではないでしょうか。ただのコロニーの回転だって、少なくとも重力としての機能だけは立派に果たしています。
何をもってこの1Gは偽物とされるのでしょう。要するに、機能ではない何かがポイントではないでしょうか。

他でいうとキラキラ、もといニュータイプ。
1話において、ジークアクスに搭載されたオメガサイコミュをニュータイプであるエグザベ君が起動できず通りすがりのマチュが起動してしまいます。まるでマチュこそが真のニュータイプであるかのような描写。
また、そんなマチュ自身も4話において同じキラキラを共有するシュウジとの差を感じています。これはニュータイプとしての差というか単純な腕前な気もしないでもないですが。
ではシュウジが最も優れたニュータイプかと言われるとそれもまた微妙。1話ではシュウジが操る(とは実はまだ言い切れなかったりしますが)ビットをエグザベ君が見事に撃墜しております。少なくとも腕前でエグザベ君が劣っているとは思えません。

エグザベ君は優れたパイロットでありニュータイプではありますが、マチュとシュウジとはニュータイプとして一線を画されているのも事実。エグザベ君は本作における"本物"のニュータイプではないと言えるでしょう。

また7話においては強化人間のドゥーがかの有名なサイコ・ガンダムを操縦するもシャリア・ブルに撃墜されるという圧倒的な大敗をしております。あれほどニュータイプであることを誇示するようなセリフを吐きながら、肉眼で後ろを確認するというニュータイプにあるまじき様子まで晒す始末。
作り物では本物にはなりえないと言い切っているかのような描写です。

エグザベ君はフラナガンスクールなる士官学校出身であり、シャリア・ブルの口ぶりから察するにおそらくニュータイプ育成を目的としたカリキュラムを受けているものと思われます。この仮定を踏まえると、ドゥーもエグザベ君も人為的にニュータイプを再現しようとした養殖ニュータイプであることが共通しております。
そしてそれはイズマコロニーの重力にも同じことが言えるでしょう。人工的に作られたものは本物ではないのです。

まぁ作中を見ていればなんとなく分かることを長々と書き連ねましたが……作中における本物というのは自然発生したものを指しているということです。

そして本作はその本物を追い求める描写が非常に多い。
マチュは本物の重力と海を追い求める。シャリア・ブルは本物の赤いガンダムとシャアを追い求める。ゲストに出てきたシイコも何もかもを掴み取れる本物のニュータイプへ固執し、ドゥーは自身が真なるニュータイプであることを求めた。
GQuuuuuuXとは本物を追い求める人々を描く作品なのです。

GQuuuuuuXという偽物の作品

本物という描写が大量にあることを指摘しましたが、本作はそれに反して偽物の描写が異常に多いです。
平たく言うと、機動戦士ガンダムのパロ・小ネタが多すぎる。

映画館にてBeginningを見た方はまぁ共感していただけるでしょうが、開幕から一話そのままパロしてきたことには笑いをこらえることができませんでした。
しかもそこに登場するのは知ってるけど知らない形をしたRX-78ことガンダム。そこからさらに赤で塗装されたかと思いきやサイコフレームを搭載され、なぜか主力武器はみんな大好き質量兵器ことガンダムハンマー。果てはゲルググはジムになるわ、リックドムには見慣れぬ三本目の足が生えるわ……。
あまりにも偽物の描写が多い。軽キャノンってなんだよ。

偽物なのはこれだけではない。
マチュがスマホを落として吹っ飛ばすシーンはフリクリでベスパが大破するシーンの構図そのままだし、ブラウ・ブロもといキケロガがソロモンに向かって飛ぶシーンはトップをねらえ!5話そのまま。なんか8話でエヴァを急にパロしだしたし、予告ではトップをねらえ!そのままの「お姉さま」呼びまで飛び出す。

これらの小ネタはどうやらインターネットで拾われて大いに盛り上がりに貢献しているようですが、そういった盛り上がりは作品の本質ではないと考えます。あらゆる作品のパロをそこかしこに内包された「トップをねらえ!」のファンである鶴巻監督らしい作品作りではありますが。
思うに、上述した本物に対する対比を狙った描写ではないでしょうか。

これらを雑に解釈してしまえば本物であるファーストガンダムは凄く面白いという訴えにも見えます。
GQuuuuuuXにおけるこういった小ネタ描写はすべて紛い物。本作のルールにのっとるならば、決して本物には敵うものではありません。まぁ、パロばかりでは作品としてしょうもないという見方さえできてしまいます。

しかし私は思うのです。これらの描写はマチュに対するエグザベ君、シャリア・ブルに対するドゥーと同じものではないかと。
本作は非常に作りこまれたIf宇宙世紀の背景を見せておりますが、それはあくまで人工的にファーストを模して作っただけのもの。本作における天然100%のものとは? 過去のどの作品にもない、GQuuuuuuXだけのオリジナルは何か? そう、マチュら本作のオリジナルキャラたちです。

本作の本物は、彼らの情念ではないでしょうか。

確かに数々のパロは非常に、異様といえるほどに面白い。大気圏突入については腹よじれるほどに笑った。でも、それでも、やっぱり本作の本物はマチュなんです。
紛い物の宇宙世紀の中で浮いてさえ見える、思春期をふりまいて宇宙のかなたに飛び出していくあの本物が、本作の肝なんです。なぜなら、マチュは本物だから。

本作の行き着く先とは

毎度のように予測できない方向へ話が広がる今作。
ただなんとなく行き着く先は先立って予想しております。予想というか、鶴巻監督の過去作から経験則のように推測しているのですが。

フリクリにしろトップをねらえ2!にしろ、この監督は思春期のきらめきのすばらしさを訴えてきました。思春期大好き脚本家の榎戸もまた引き連れてきたのだから、今回も同じパターンに違いないのです。それを今回の記事で書いた気付きを踏まえて、より強い確信を持つことができました。

偶然にも、記事を書いている最中に本作のパロが分からず置いて行かれた感覚になっていると思われる投稿を見かけました。
反応の多さを見るに似たような人は多くいるのでしょう。

しかしそういったパロは大事な屋台骨ではあるものの、本質ではないと私は考えます。
本作が描きたいのはそういったパロだけでは決してない。過去作の知識なんて、本質に触れるうえでは必ずしも必要ではないでしょう。少し卑屈になるくらいならインターネットを離れてもいいので、ぜひそんな理由で本作から離れてほしくない。
むしろ私からすればパロに惑わされず純粋にGQuuuuuuXを楽しめて心底羨ましいくらいです。

鶴巻和哉の描く本物をキッチリ見定め、榎戸洋司に全員人生を破壊されろ。

拍手[0回]

東京旅行2024 渋谷+ディズニーランド

自分が主催した旅行が良い感じにできたのでまとめておく。

みなさんも人生で一度は思ったことがあると思いますがある日「ディズニーランドにフォロワー連れて行ってめちゃめちゃに語りてぇな」という欲が高まり、早速実行するにあたって舞浜行きについて調べていた間にふと「最近芸術に触れてないから浴びに行きてぇな」という欲もあったことを思い出すことから企画が始まる。

ディズニーランド、それはバカでかい上にバカ寒いし近年では馬鹿みたいにチケットが高い土地。ただでさえ移動費がかかるのにテーマパークまで行ってしまうとそりゃあまぁ一緒に来る人も限られるだろうなと踏んでいた。

まぁ何人か来ればいいやという気概で入り浸ってるディスコード鯖に募集を投げかけます。



多くないか???????????????
8人?8人でディズニーランド?????流石に想定していない人数でビビり散らかした。8人って何? スマブラでも交代が追いつかなくて余ったやつらがDSで遊びだす人数である。
まぁ喋る相手が多いに越したことはないのでヨシとする。オタク語りなんて的が多ければ多い方が嬉しい。ソクラテスだって街頭で無差別問答をしていたんだから歴史が証明している。
実際のところはただオタクの集まりだった。オタクがいくら集まってもオタク臭が増すだけである。

旅程

ディズニーランドに多数の知り合いを引率する場合、一番気にしないといけないこと。それは広大な土地である。

まずもって、ディズニーランドに向かうにあたって大多数の人が利用する京葉・武蔵野線がクセモノ。
東京駅で京葉線に初めて乗り換えようとした時はひどく困惑した。遥か地下深くまでとにかく下り続けならないのだ。改札から向かえば間違いなく10分はかかり、JRもそれを認めているのか動く歩道を採用している。ここで高速移動しながら眺めるツイステの広告はもはやディズニーリゾートへ行く際の名物とさえ言える。

ディズニーランドに入ったところでも徒歩問題は続く。中で一周しようとすればおおよそ3キロの徒歩が必要になる。しかも大勢の人ごみの中をかきわけながら、行きたい場所によっては何度も蛇行を繰り返しながら、その距離を歩くわけである。しかも列待機中は立ちっぱなしなわけで……。

体力に自信があるのならまぁ問題ないのだが、今回連れていくのは貧弱な運動不足オタクどもなのでこの問題は深刻である。過去にオタクを夜行バス往復で連れて行ったら「二度と行かん」と言われた実績もある。

よって以下の通り旅程を定めた。
一日目:渋谷(松濤美術館、喫茶ライオン)で早めに解散
二日目:宿泊場所から東京ディズニーランドへ朝から晩まで。

まるでディズニーが本命みたいな書き方になっているが、体力を考えると第一優先に考えざるを得ないという話である。

初日 渋谷散策

ディズニーランドに行く仕草があまりにも身についてしまったため、東京に行く時は無駄に早朝着する癖がある私は今回も見事に一番乗りして暇してました。
どうせなら渋谷のオシャレカフェに行くかということで老舗喫茶でコーヒーをしばいていました。

■喫茶 人間関係
名前の思想が強いのが気に入った。
中は外の日が入ってきて、木目調の家具も相まって温かみのある感じ。行きつけに似ている。

これは全然モーニングのパンが来なかったので大分減ったコーヒー。飲みやすくて優しいブレンドだった。パンと合わせるならこれくらいがちょうどいい感じ。

■松濤美術館
集合時間になってみんなが集まってから松濤の方面へ。どんどん喧騒が遠ざかっていき、綺麗な住宅街になっていくのが印象的。道中にある不動産に書かれた価格がとんでもない数字で都会が怖くなった。
改札通る時もフォロワーと「電車代やっす!」とか言いあっていたので田舎者まるだしだったと思う。

渋谷駅から15分ほどで到着したのが松濤美術館。


かなり大きなレンガ調の建物なので存在感がある。すぐ近くにはオシャレな水道もあるのでオシャレ写真撮りたい人にもおすすめ。雑誌の見開きを飾るならここでの写真が良い。


さて今回ここに向かったのは展示もさることながら、建物自体が見たかったというのが主な目的だった。
綺麗な建造物を見るとロマンを感じる。自分で写真を撮ってみるとガラス越しなせいでこんなに綺麗に撮れなかったのはちょっと残念だった。

展示内容は木彫りの植物をそこらじゅうの床に直置きしてお出ししてくるという製作者も展示したスタッフもどっちもイカれてるモノだった。


葉脈から花糸まで木というとんでもなく繊細なものがパーテーションすらない状態で展示されているのはもはや恐怖を感じる。上野で同じ事したら全て粉砕されるだろうから、松濤という物静かな場所だからこそできる展示なんだろう。
数か月で限定展示したら一か月ほど展示を休止する、という不思議な営業方法にも納得が行った。展示方法について総出で考えているんだろう。怖い。



これなんて芸術的すぎる。Ibか?
ちなみにこの花の前でフォロワーがつまずいてコケそうになっていた。そのまま倒れていたら間違いなく人生が破綻していただろうことは想像に難くない。恐ろしい場所だった。



製作者が十六茶の原画をやっているという訳の分からない情報まで追加されたときは美術館に似合わぬでかめの声を出してしまった。
さらっと原画をガラスもなしでそのまま展示しているのもやっぱり何かおかしい。ここを見つけてよかったと心底思ったし、傑物というのは実在するんだなという衝撃はなかなか忘れられない。

■名曲喫茶ライオン
撮影不可エリアのため詳細は正直ここを見てもらった方が早い。

会話禁止、撮影禁止、バカみたいに古い作りの公式ホームページ。もう惹かれるところしかなかった。
店内では2階に連なるほどの巨大スピーカーから延々とクラシックが流れ続ける。ピアノソロとオーケストラが交互に流れていたが、途中からチャイコフスキーのクソ長い曲がずっと流れ続けていた。壮大でありつつ明るい曲調はとても喫茶店の雰囲気に合っている気がした。

席は全てスピーカーに向かい合うように真正面を向いていて、さながら音楽堂。二階のスピーカー側の席はボックス席となっていて、これぞまさしく!という配置だった。どうせオーケストラを聞くならボックス席でゆったり聞きたいので周りの話も聞かずにまっすぐ向かってしまった。

特筆して語りたいのが音響について。
ずぶの素人でもわかるくらい明らかに音質が良い。ほぼスピーカーの隣みたいな位置にいたがうるささはなく、ノイズも特に聞こえず。実際にオーケストラに行ったとしてもああもムラのなく重厚な音は聞けないだろう。

コーヒーについては口に含んでから二度見するくらい苦くて重い。ミルクは頼んだ方が一層美味しかった気がする。だいぶ特殊な淹れ方をしているのだろう。

会話もできないのであんまり集団で来る場所ではなかったかもしれないが、みんなで音楽を聴きながら各々好きなことやっているのはそれはそれでよかった。あそこで気軽に読書できる東京住まいがだいぶうらやましかった。
一人だけ週刊コロコロ読んでて実質的にダウナーお姉さんだった。
ダウナーお姉さんは遊びたい の作品サムネイル

■秋葉原
この日はトンカツを食ってあとは解散したのだが、フォロワー一人と私だけで秋葉にいってジャンク屋やPCパーツを漁るなどしていた。
現PC環境を教わったり、電子工作素子を見たり、めちゃくちゃ男の子な時間の過ごしたのは楽しかった。マザーボードの進化やクーラーの話など非常に参考になったが自作PCはめちゃくちゃ怠いので今度買いなおすときはBPOにしておこうと心に決めた。と言いつつ多分自作組むんだろうな。

二日目 ディズニーランド

早寝しようとしていたのにアークナイツの石作りミニゲームに熱中して結局4時間睡眠となり、体調ばっちりな状態で二日目を迎える。計画は完璧だ。
ここから引率スキルは我ながらずいぶんディズニー慣れしたなと振り返ってみても感心する。

まず集合前からグダつかないように以下のように周知をかけておく。

・京葉線6号車は舞浜駅のホームの階段の目の前に着くため、降車後にスムーズに移動が可能。ガチ勢と地元民には周知の事実のため6号車はいつもギチギチ。
・舞浜駅のロッカーは構内にあり、帰りの際に寄り道せず取りに行ける。
・飲料水はパーク内だとパーク価格(500mlペットボトルが250円)で売られているので先立って確保しておいた方がよい。なお缶は防犯上持ち込み不可。

入場チケットについては最悪引率者が全てQRコードを把握していれば入場には困らない。集合前に必要なのはこんなあたりである。

しかし早速トラブル発生。新幹線の乗車券が東京都内となっているため、舞浜まで来れないとの連絡がフォロワーからあり。
これはありがちなトラブルなので対処は簡単である。方法は以下の二つがある。
①舞浜駅まで来て清算機にて対応する
→8:30~9:30までは同様の乗車客が多く、非常に混雑するため注意
②東京駅で一度構外へ出て、舞浜までの切符を買う。
→距離があるためそこだけ注意。

時間を見てすぐさま②を対応するように連絡を取る。

新幹線ホームから東京駅構外へ出る際、早朝であればこれが最速である。
距離的には新幹線ホーム→八重洲中央口も大差ないのだが、地下八重洲口はとにかく利用者が少ない。そのため移動も出入りも切符購入も容易である。

ここまで連絡を即できたあたりで「だいぶディズニー慣れたな」と自覚した。オタクが現場にいる時の頭の回転速度は平時の5倍くらいあると思う。仕事もこの速度で処理出来たらいいのに。

手荷物検査ではこれまた最速のリゾラ高架下を選択。舞浜駅からディズニーランドについたら左ではなく狭い右側へ行け。人が少ない奥の方へ進めばすぐに入れる。

なんのかんの入場できたのは9:30である。この時点で私は負けを確信した。

みんなディズニーランドに早朝から来たらこう思うのではないだろうか?
「早く来たんだし一番混むアトラクション乗っちゃおう!今なら空いてるし!!」
↑↑↑↑↑
これ、大きな間違いです。


なぜなら、全員同じことを考えるから。開園時はディズニーリゾートにおいてもっとも混む時間帯である。

実際この日も同様の状況であった。
入園から即アプリを起動。ショー抽選は当然のように落選し、ハニーハントのスタンバイパスを取ろうとするもすでに19時台のものしか残っておらず。一縷の望みをかけてプーさんのハニーハントまで向かうもすでにQラインから溢れかえった120分待ちと思われる待機列(参考:昼間の混む時間で90分ほど)

9:30でこれである。アプリを見てもどのアトラクションも昼間の時間+30分ほどの待機時間が表示されていた。
しかし土日ならまあ、それで妥当なのだ。早朝先制アタックを確実に決めたいのなら、ハッピーエントリー(開園15分前から入れるサービス)か6時からゲート前待機する他ない。

ではどうするのか。答えは簡単である。
トゥーンタウンのイメージ
東京ディズニーリゾート公式サイトより引用。

朝はトゥーンタウンで遊べ。
トゥーンタウンは子供向けエリアであり、ミッキーと撮影できるくらいの認識の人も多いだろうがここは非常に楽しい。端的に言うとインスタ映えスポットである。

みんなアトラクションに行きがちだが、実はディズニーリゾートは街並みを見ているだけで楽しい。踏むと文句をつけられるマンホールや、延々とくだらないものが製造されていくギャグファクトリー、TNTレバーを押すと爆発したり外れの音がなったりする花火屋など遊び場がたくさんある。
個人的におすすめなのはミッキーがデートに遅れる言い訳を並べ立てる留守電が聞けるミニーの家である。

ガキくさいかもしれないがディズニーリゾートに来た時くらい大人でもガキくさいやった方が楽しい。

基本的にアトラクション以外であれば待ち時間はない公園のようなスポットなので、混む時間が落ち着くまでここにいると良いと思う。あとはぼちぼち満足したら隣にあるイッツアスモールワールド、ピノキオやフィルハーマジックなどに行けばよい。ここは朝でもそこまで混まない。

采配が完璧だったのは昼頃。

東京ディズニーリゾート公式サイトより引用。

これはあらかじめ作っておいたトイレ+アトラクション+パレードルートのマップである。緑の矢印がパレードルート、青い②がハニーハントの位置。ちなみに光っているWCマークはいつ行っても即使えるSSRトイレである。
見てもらうと分かる通り、パレードルートとハニーハントが非常に近いことが分かる。

ちなみに昼のパレードは大体13:00に始まる。
それを把握していた私は12:00前にクイーンオブハートのパンケットホールに入って昼食を取り、だいぶゆっくり休憩して13:30頃にハニーハントへ向かうことにする。するとどうなるだろう。



撮影スキルの無さを露呈。

まぁ、ばっちり決まった写真こそ取れなかったが、ハニーハントの待機列からパレードが見えてしまうのだ。
ほぼすべてのパレードがルートを共通しているため、パレード開始から30分~40分くらいのあたりでハニーハントに並べばいい具合にパレードが見える。軽くだけ見てみたいなぁという人にはおすすめのハックである。パレード時は人が少ないので比較的待機時間が短いのも良い点。



これはめちゃくちゃ良い感じに撮れた推しカプ。見返すとキモオタムーブ過ぎる。

ハニーハントではQラインから退場までのストーリーの流れを全て解説してめちゃくちゃ楽しかった。ハニーハント好きとしてはこれがやりたくて仕方がなかった。
「世界観オタクが作ったってこと?」と言われたがここは世界観オタクが作ったものしかないテーマパークである。

その後、ランド内で最も混む美女と野獣に向かうとキャストが「120分待ちでーす!」と言っていたがどう見ても90分以下の待機列だったので「あれ虚偽なんで並びましょう!」と並んでみたら見事に80分待機だったのは慧眼だったと言える。普段は真の120分待ちばかりだったので相当にレアだ。
後から聞いたが「120分待ち何度もしてなかったら見抜けないだろ」とドン引きされていたらしい。実際120分待ちしまくっていたので仕方がない。美女と野獣の石像たちが異様にウケてたのはオタク過ぎる光景だった。



夜のパークでは残ったメンツでチキルームやプロジェクションマッピングを見たりして静かに楽しんでいた。
唯一体を張ったのがティーカップ。全力回転させて体調が死んだりした。あれは方向感覚がおかしくなるが、やると楽しいので夜暇だったらぜひやってみよう。下手するとその後何も乗れなくなるのでほどほどに。

大まかな道のりはこんなものだったが、連れまわしてみて色々思ったことがある。

●先立って作品を見た方がパークは楽しい。

サーバーのみんなでピノキオ上映会をしたことがあったのだが、その影響でピノキオ関連のアトラクションでは大変な盛り上がりを見せていた。ジミニー・クリケットが登場するだけで拍手喝采である。
ちなみにサーバー内ではジミニー・クリケットは無能という愛称で呼ばれており大変親しまれている。実際映画では非常に無能なのでぜひ見て欲しい。これはメインディッシュのピノキオに狂うオタク。

意外とみんなディズニーランドのこと知らない。
イッツアスモールワールドを見て「えっあれめっちゃ可愛いじゃん!」と新鮮に驚くフォロワーを見た時はだいぶびっくりした。その後「これは何の作品なの?」と聞かれて「万博に向けて作ったアトラクションが元で……」と説明にちょっと苦労した。
ディズニーランドのシンボル的存在でも知名度はそんなものなのかもしれない。

あとスイーツ好きが多かったので当然くらいに思いながらパンケットホールに向かったのだが「こんなケーキあるの?!」とこれもずいぶんヒットしていた。半分くらいがケーキドリンクを飲んでいる光景は私からすればだいぶ信じられないものだった。あんな甘くて飲んでられないものをよく……。
周囲の反応を見て、そういえば初めてオタクに連れてかれた時はこんな感じだっけと懐かしくなった。連れてきてよかったとしみじみ思う。●ちゃんと準備すれば楽しんでもらえる。
フォロワーたちは基本ディズニーが好きだという人は少なく、みんな集まるなら行くかぁくらいの熱量の人が大半だったと正直思う。けれどまぁ楽しんでもらえたのは可能なだけグダグダしないで済むように準備していたのがでかいと思う。
疲れないように朝一の集合は強制しないようにしたし、逐一すぐ座れるアトラクション挟んで、食事も座れる場所選んで、帰り時間は先立って決めておいて……とまぁ結構意識していたし気を遣わせないためにそれをあんまり表立って出さないようにしていた。

「こいつ楽しめるのか?」というオタクもいたが、意外なくらい楽しんでいたのでまぁ良かった。そいつ向けに普段なら絶対紹介しないようなところ紹介していたので、ニッチ知識は割と役立つ。


そんな感じで、いい具合な旅行をすることができた。ある程度の準備をしておくと旅行は楽だしストレスが少ないなと思えた。

拍手[0回]

トップをねらえ2!第6話考察 ノノが託した特異点とはなんなのか

以下、トップをねらえ2!の重大なネタバレあり

2つの特異点

ノノリリが輝かせた特異点は、ノノがもらいます
代わりに、お姉さまにはノノの特異点を捧げます! なぜならば────!
トップをねらえ2!におけるノノの最後の出番は時空検閲官の部屋にて締められます。
ノノから何か託されて目を覚ましたラルクの腕の中には、かつてノノが渡すことができなかった折り鶴が握られていました。

その後大人になったラルクは地球に滞在し、宇宙パイロットとはすっかり距離を置いて野鳥の保全活動に努めているようでした。
ヤンバルクイナ、という単語を聞いてすべてを察した方も多いでしょう。沖縄での夜、ラルクが明かりを消して星空を見上げるとともに明かりが照らされ、地球に帰ってきたノノリリを迎えるところで本作は終了します。

凄く完成された演出だと思います。4話以降のトップ2!は続編作品としてこれ以上にないくらい素晴らしいものです。
しかし、ここで一つ疑問。ラルクは一体何かを託されたのだろうか?

ふんわりとは全ての行動に繋がりがあることは分かります。けれど個人的にその結論が判然としていない……というところで思考が止まっていたのですがこの度突然気づきが降ってきたのでここに書き記しておきます。
確信した。トップをねらえ2!はとんでもない作品だ。

ノノリリの輝かせた特異点

まずはノノがもらったというノノリリの特異点から考えていこうと思います。

そもそも、特異点とはなんでしょうか。
数式において法則から外れた特別な解、というと数学に馴染みのある人は分かりやすいと思いますが私はイマイチです。
この特異点という単語はトップ2!第6話においてノノとラルクの会話以前にも宇宙軍隊員のセリフに登場しています。
ありえない、ブラックホールが割れる……この宇宙では許されないことだ。このままでは特異点が剥き出しになる!
初めて聞いた時は「なんか難しいこと言ってんな~」としか思いませんでしたが、これはかなり圧縮されたSF言語となっています。
ブラックホールというのは途方もない密度を持った惑星が光も押しつぶすほどの重力を発する現象。これが起きる条件は惑星の質量と半径を用いて、シュヴァルツシルト解なんていう数式で表せるそうです。
で。この数式にも特異点が存在しています。それは惑星の半径が0の時です。

要するに宇宙軍隊員の言う特異点とはブラックホールの中心ということです。

本来ならばこの特異点は常にどうやっても観測できない(まるで世界の誰かによって隠されているようであるため時空検閲官説などという話がある)のですが、ノノはブラックホールを見事に割ってしまったがために本来は外に出てこない特異点が剥き出しになってしまったというわけです。
何言ってるか分からないと思いますが、まぁ詳しくは調べてください。

つまり物理的にありえない空間が露わになってしまったわけです。
特異点が現れ、物理法則が崩壊する源が宇宙に生まれてしまった以上宇宙はどんどん姿を変えてしまう。そういうことを宇宙軍たちは危惧していたのです。

はてさて、ここでノノが割ったブラックホールについて第5話にて語られていたことを振り返ってみましょう。
このブラックホールは本来雷王星宙域に存在していたブラックホールエグゼリオ。宇宙怪獣の巣と言われていましたが、その実態は中から飛び出ようとする変動重力源を閉じ込めておくための宇宙怪獣たちの防衛線でした。エグゼリオ変動重力源はこのブラックホールから脱出するとともに、それを取り込んで人類に攻めかかってきたのが第6話になります。

ブラックホールの名称、そして変動重力源を閉じ込めていたことから察するに、ブラックホールエグゼリオとはトップ!第5話にてエクセリオンをもとに作り出されたブラックホール爆弾のことでしょう。
それは人類を救うためのノリコとカズミの激闘の跡であり、ノノリリが輝かせたもの。

そう、このブラックホールの特異点こそノノリリが輝かせた特異点なのです。
かつて人類のために二人の少女が戦った証、そして宇宙を崩壊させかねない原因をノノは一人で抱え込むことで再び人類を救い、孤独な時空検閲官の部屋に残ることになった。
トップ2!第6話はノノリリからノノへと宿命が受け継がれた話でもあるのです。

ノノが託した折り鶴

ノノは特異点を背負い込み一人で宇宙へ消えていきました。では残されたラルクには何が託されたのでしょうか?

ラルクの手に握られた折り鶴ですが、これだけでも色々考えられると思います。

まず思い出すのは第5話の病室でラルクがノノへ折り鶴を渡してあげるシーン。
地球じゃ「元気でいてほしい」って願いを込めて贈るの
本当なら見舞いに来る奴が持ってくるんだ
このときのチコからの話を受けて、ノノは改めて見舞いに持っていくために折り鶴を必死で練習します。その成果はというと”ぶきっちょ”であるラルクが作ったものよりもずっとひどく、ノノの不器用さがよく伝わります。
改めて第6話でノノがラルクへ渡したのは、ラルクのこれからを願ってであるというのが一番シンプルな話でしょう。折り鶴がクシャクシャなのはノノの根性の成果でしょうか。

次に思い出すのがトップ!第6話のカズミが沖女の生徒から受け取った千羽鶴。

これも当然、上記のようにカズミが無事でいてくれることを願って送られたものでしょうが……ここで気になるのは千羽鶴は宇宙に平和をもたらしたノノリリが受け取ったものであるということ。
同じものを受け取りながら、時空に閉じ込められたカズミと友達が時空へ消えたラルクとは立ち位置が逆になっているのです。
だって、お姉さまとノノリリは、よく似ている
ノノリリって人はですね、特別じゃない。普通の女の子なんです
トップ!は”普通の女の子”がもう誰とも会えなくなる孤独を描いた作品でした。ノノはまた同じことが起こらないようにラルクを守ってくれたんでしょう。この鶴は今度こそ”普通の女の子”を地球に帰すことができたという証明なのではないでしょうか。

折り鶴の意味については作外での回答もあります。
監督本人がインタビューでじきじきに答えを出しているのです。私が書いたことと被っている部分も多々あります。
ノノはラルクに自分の想いを残したいと思っていて、それが折り鶴として残ったという事です。折り鶴もトップレスの表現のひとつであって、トップレスっていうのは、情報を別の情報に書き換える力なんですね。
(中略)折り紙を作る行為もトップレス的と言ったように、トップレスは暗黒面も見え隠れする力であるけれど、全てまとめて否定すればいいわけではない。それは失ったとしても続いているでしょ、という事ですね。
作品を見る中だけでは気付けませんでしたが、紙を別のものに変えること自体がトップレスのメタファーであるということらしいです。
トップ2!を巡った感想では、よくフラタニティが行ってきた戦いは無駄であったような記述が多く見受けられます。それは前回の記事で否定したところではあるのですが、そういった思いは作中のこのシーンでも表現されていたのではないかなと思います。

トップレスを巡って嫉妬や不和、戦いなどが生まれました。けれどやさしさだって生まれている。
ノノとラルクの出会い、チコと宇宙放射線病の彼の恋、カシオとラルクのような受け継いだ者同士の絆。そういったことはトップレスが無くなった後も残り続ける。あの折り鶴は否定することなんてないんだよ、という優しいメッセージなのです。

受け継がれたノノの特異点

ノノリリからノノへと特異点を引き継がれ、ノノからラルクへと折り鶴が送られる。残ったものたちへと次々と託されていく構図のように話を進めてきましたが……ノノの特異点とは本当に折り鶴のことなのでしょうか?

折り鶴というのはノノがノノとして覚醒してから随分経ってから知ったもの。そしてそこに込められた思いは上記のような優しさ。ノノリリの特異点は使命めいているのに対し、折り鶴にはノノが背負っていたものが反映されているわけではないのです。
この二つが対比されているのはメタ的に見て、構図として違和感があります。

バスターマシンの胸に秘めるのは全ての動力源となる縮退炉。
ノノの胸からラルクが手にしたのはもっと根源的な、ノノを動かす思いそのものであるはずなのです。

トップ2!のラストシーンを紐解いていくと、私なりの解釈をすることができました。

まず根本的な疑問。
なぜラルクはノノリリが帰ってくることを知っていたのか?
トップ2!の人類たちが最初から1万2000年後に名も知らぬ英雄が帰ってくることを受け継いでいた? それならば作中でもっと早く「英雄=ノノリリ」という気付きがあってよいはずです。
ユングが自動的にオカエリナサイと表示される電光掲示板を用意していたのか? それならばあんな文字のミスは生まれないですし、知られてもいないのだから帰還直前になって地球で話題になったりもしないでしょう。
となると。ノノが去ってからノノリリの帰還が発覚したと考える方が自然でしょう。
誰がそれを気付いたのか。本人の口ぶりから察するにラルクではないはず。師匠だったりするんじゃないかと思っていますが、詳細は不明です。

ではそれを踏まえて。
トップ2!のラストシーンにて10年後のラルクが立っている地は沖縄。かつてノリコとカズミが育った沖女があった地です。しかしそれは1万2000年前の話です。
これはラルクが自分からノノリリについてよほど深く調べなければ知ることができない情報です。
もはや考古学の領域の話。そんなことを保全活動をする傍らで出来るようなことなのでしょうか。古代語を知る友人の手助けを得たのか、はたまた特別に師匠から教えられたりでもしたのか。いずれにせよ人のつながりを感じさせる話です。
しかしなぜそこまでして沖縄でノノリリを待っていたのでしょうか。

はっきり言って、ノノリリに会うだけなら沖縄で待つ必要はないのです。かつての英雄が太古の英雄と会うのが難しいとは思いません。ノノリリが大和撫子であることを知っているラルクは日本にさえ滞在していれば邂逅する機会など作れたはずなのです。
真っ先に会いたかっただけか、それとも野鳥保全の仕事が偶然ノノリリと引き合わせたのか。

私の考えとしてはラルクがノノリリに「おかえりなさい」を伝える使命をノノから引き継いだからではと思います。

そもそもノノはなぜ女の子の姿をしているのでしょうか。
食事を取り、お風呂に入って、わざわざ洗濯もするし注射を怖がるようなロボットは極めて非効率です。人型で戦うことが都合が良かったというなら7号としての形態があれば十分なのにノノにはわざわざ少女然とした姿が作られています。
あの子をノノリリに会わせてあげたかった。
もしノノリリがあの子の言う通り”普通の女の子”なのだとすれば、やはり友人が必要だと思うのです。
……英雄とは、いつも孤独なのでしょう。
そう。ノノの姿は英雄の友達にピッタリなのです。誰とも一緒に歩んで生きていけなくなったノリコのために、待ってくれている友達が必要だったからノノは少女の姿をしている。
ノノは人類を守るバスターマシンであり、タカヤノリコの友達として作られたのです。
そしてそんな優しさを誰が与えてくれたのか? 私たちは知っているはずです。
帰ってきたら「おかえりなさい」と言ってあげる
ノノの使命、特異点とは。1万2000年後に帰ってくるノリコとカズミに「おかえりなさい」と伝えることなのです。

だからラルクは沖縄の地でノノリリを待たなければならなかった。
ラルクが待っていた夜というのはノノから受け継いだ特異点のことなのです。そしてそれを果たせたのはトップレスを通じて生まれた繋がりと無事を祈ってくれた友人のおかげなのではないかと、そう思うのです。

まとめ

以上のことに突然気づいたのは職場で仕事をしている最中でした。トップ2!を最後に見てから半年は経つ今、思いもよらないタイミングです。
この作品に込められた優しさは底が知れないなと、何かを気付くたびに驚嘆するばかりです。

トップをねらえ2!という作品の魅力の全てを私は知ることができていませんし、世にも知られていないと思います。
せめて私が見つけたトップ2!の良さを誰かに気付いてほしい……という祈りを込めて記事を書き続けて三本目になりました。まだ何かあるだろうなという確信があります。また半年くらいしたら突然閃くかもしれませんね。

作品を知覚して「こうかもしれない」と思うこと自体がトップレス的な行為。感性がいつ失われるか分かりませんが、少しでも汲み取れたこの作品の良さと一生付き合っていければ良いなと思います。

拍手[2回]

アークナイツ感想-ツヴィリングトゥルムの黄金

題目の通り、アークナイツのイベントがよかったので感想書きます。

全体を通じて

解放がメインだったな、と感じる。なぜアルトリアがセンターなのか、読了してから納得がいった。
金律楽章に守られたリターニア、規律そのものだったフェデリコ、リターニアでもカジミエーシュでも自由を持てなかったヴィヴィアナ、出自に囚われ続けているエーベンホルツ。閉じこめられるということのモチーフが多過ぎる!
新キャラたちも全員そういった一面をもっていて、極めて一貫していたなというのをよく感じる。1ステージあたり30分は読む時間がかかったにも関わらず、不快度なく読めたのはここが大きいと思う。個人的にはエンドレスカーニバルでさえちょっとキツいけど、ツヴィリングトゥルむのは余裕だった。













以下ネタバレ多量!
















エーベンホルツ

誰よりも解放された男。
前半においては周囲に振り回され、結局自分の身を守ることができず、助けてくれた人を信じていたらまた利用されるという彼の人生の振り返りのような展開が見せられた。お前は本当にアークナイツユーザー好みの男だなフランツ……。

このような失敗も含め、きっとフランツは自分のことがどうしようもないと知っているのだと思う。
一生頭痛と恨みをぶつけられ、巫王の復活材料として祀り上げられ、鉱石病以上の災いとずっと付き合い、救いもなく恨みも果たせず、友人まで失った。これでどうやって自分を保てるというのだろう。
イベント中はなんと自らの出自を明かして人々を脅して逃げさせようとする描写さえあった。言いたくもないことだというのに必死に訴えるなんてことは半ば諦めていないとできないことだろう。そしてその姿はあまりにもつらい。キャラが絶望的なまでに辛い目に遭う展開はティガー様の好物だぜ!

そんな中、後半では「塵界の音がただの雑音」という衝撃的な事実が判明。
フランツ自身が今までの苦しみはなんだったのかとなり、ユーザーとしても塵影ってなんだったんだと苦悩させられた。本当に、フランツの人生の意味なんて全部なかったんじゃないかと思わされる……そしてそんな考えは非常に浅はかであると教えられる。これこそアークナイツだ。

巫王との対話で困惑しついに何をしていいのか分からなくなった彼を救ったのはまさしく塵影で出会った友人たちの言葉だった。
これがもう本当に……! 非常に良かった。彼の人生の意味はすべてここに詰まっている。

出自から何まですべてが悲劇的な少年には友がいたのだ。
こうして彼は塵界の音から解放され、巫王への恨みからも解放される。こんな展開が今イベントの一端に過ぎないことがツヴィリングトゥルムの出来の良さを物語っている。

レッシング

彼は何がしたかったのか、前半ではまったく伝わらなかった。
既出キャラが明確な目的をもって動いている中で、これは非常に異質に見えた。一枚絵が公開されたときでさえ、なぜ彼がここまでしてフランツを助けようとするのかユーザー側は一切理解ができていない。

なんのことはない。それは意図的なことだったのだ。
8ステージ目あたりからだんだんと理解できるようになり、最後に明かされる彼の出生で全てに合点がいく。彼の自由はフランツのおかげで手に入り、リッチのおかげで命を救われ、リターニアで育ってきた。だからそれらに恩返しをしたいというだけのことなのだ。
この構造はとても美しいと感じる。

レッシングは本当に優しすぎる。
正直リッチについては理解できていない(メインストーリー9章まで読了)が、サルカズの中でも異質でいかにも他所と交わらない種族の彼らと仲良くなってきた理由がよくわかる。彼は実直で優しい。
これを踏まえると全てがよく見えてくるのだ。レッシング……。

ロリス

始めに不満を書いてしまうが、彼は明らかに描写不足。
前半早々に死亡してしまうのだが、私が読んだときは彼の決断の重さはまったく伝わらなかった。これもやはりレッシングと同じく後半に少しずつ分かるようになるのだが、魅力も伝わりきらぬまま死亡したキャラの回想など興味が持てる人の方が少ないと思う。これは明らかに今イベントの問題点。

それにしても英雄に祭り上げられ、実際はその無力さに悩む姿はエーベンホルツそのものであり、その彼がエーベンホルツを救うために命を張る展開は素晴らしいものだろう。
自分の好きだった女であるユリアが救えなかった英雄は何を思って過ごしていたのか、こちらが推測するしかないけれど、今にして思えばその弟と居合わせた市民(エーベンホルツ)を救うために命を張った彼の姿はイベント読了後に振り返ってみるととんでもない重さがある。

後半ではユリアが巫王派も意図せずに巻き込まれて死亡したことが分かり、前半ではロリスの死についてもフェデリコが「アルトリアの意図しないもの」と断言しています。なんとも因果を感じさせられる。
何一つ間違ったことなどしていないのに、巻き込まれて人生が一変させられて、自分の思いを伝えることができなかった市民たち二人の姿は今イベントのあらゆる部分と繋がる。

解放されなかった人たち。それがロリスとユリアなのだろう。

ヴィヴィアナ

リターニアから追い出されるように出ていき、カジミエーシュでも商業連合会に縛られついには追い出された大騎士がまた父の死によりリターニアに戻ってきた……これだけでもう何かと縛りを受けていることが分かる。

97名の術士を抑えられると断言しその強さは健在のようですが、実はあまり戦闘描写はなく今回は自分の思いに向き合うことが主な出番でした。

印象的なのはより良い生活を届けようとしてくれたコーラとのかかわり。
コーラは本当に良くしてくれていて、そして行き過ぎていた。ヴィヴィアナが自らそれを阻止することになる展開は繋がりを失っていった彼女にとってはとても辛いものだったでしょう。ティガー様の大好物だぜ!

後半で始原の角にて扉を開けてより良い生活を探し続ける姿は愛に飢えた少女らしさがあり、かなり好き。
結局どの扉に進もうと家族全員が良い暮らしができないことを悟った彼女はより良い生活を探すことを止めました。それは諦めたということではなく、受け入れたということなのでしょう。フランツと同じく、彼女もまたこうして肉親との別れから解放されます。

ヴィヴィアナが立ち上がったときに押し上げたのはソードスピアの光とリターニアへ到来するであろう災害への予見。そうして騎士の誇りを叫ぶ姿は今イベント屈指の美しさがあります。
お前は本当に顔がいいなヴィヴィアナドロステ……ここにきてソードスピア出すなんてマーガレット大好きだなヴィヴィアナドロステ……前半でも光を見たなんてこと言ってたなヴィヴィアナドロステ……「ニアール」と聞いてニッコニコだったなヴィヴィアナドロステ……

テラのインターネットでは燭騎士と輝騎士の二次創作が蔓延しているのは皆さんご存知の通りですが、今回のような場面を見ることができるのはテラの大地の方々では不可能なので自らが現実世界の住人であることに私は心の底から感謝をしていましたありがとうハイパーグリフ早くヴィヴィアナドロステをガチャから出してくれハイパーグリフ。

フェデリコ・アルトリア

二人については特段語ることがないと思います。

かなり語弊がありますが、アルトリアは巫王との会話で自分を知り、フェデリコは姉の悩みを最初から知っていてついに捕まえた。改めて話すことは何もないでしょう。アルトリア自身もようやく解放された。そうしてやっと姉弟で話ができた。これ以上言うことはない。というか蛇足です。

姉弟っていいな、などと思うわけではありません。ようやく二人がやりたかったことができたのかなと思うと少しだけ安心しました。


以上。

拍手[0回]